手塚を幸せに出来るなら、俺はどうなっても構わないと思っていた。
どんな苦痛も、どんな不幸にも耐えられる。
その自信があった。
もう、ずっと長い間。
だけど、手塚に言わせたら、それは大きな間違いなのだそうだ。
手塚を幸せにするということは、俺自身が幸せでないと成立しないと、手塚は言う。
呆れるほど単純明快。
目からうろこが何枚も落っこちた。
真理だねと答えると、今までそんなこともわからなかったのかと、手塚は呆れた。
お前がそこまで馬鹿だとは思わなかったとの辛辣なオマケもついて。
そんな当たり前のことすらわからなくなるほど、恋は人を愚かにするんだ。
そしてね。
俺に、俺が馬鹿だと言う事を思い出させてくれるお前が、死ぬほど好きだよ。