
手塚を良く知らない奴は、手塚のことを冷たそうだと思うらしい。
確かに、手塚の外見から受ける印象は「冷涼」な感じがする。
いつも冷静で滅多なことでは顔色を変えたりしないし、理性的で感情を剥き出しにすることは無い。
しかもあの顔立ちだ。
なおのこと、冷たさばかりが際立ってしまう。
それでも手塚が真剣に試合をしているところを見たら、あいつの内側が見かけからは想像がつかないくらい熱いことにすぐ気づくはずだ。
でも。
手塚が冷たいばかりじゃないって感じるのは、そうときだけじゃなくて。
誰も信じないだろう。
俺と二人切りでいるときは、手塚がとても柔らかい顔で笑うなんてこと。
普段は固く真面目腐った表情ばかりなのに、俺のくだらない冗談にくすくすと肩を揺らして笑ったりもする。
それだけなら、まだいい。
抱き寄せた裸の肩は制服姿では気づかない細さで、俺の掌で簡単に包み込んでしまえる。
そうやって俺に抱きしめられると、手塚は少しはにかんだように、だけどとても安心したように目を伏せる。
ねえ、それはちょっと卑怯だよ。手塚。
そんな顔は俺にだけ見せてくれてるんだろう?
そう思ったら、たまらなくなるじゃないか。
お前が「クール」って言われるたびに、俺はいつも反論したくなる。
でも人には絶対言えない。
「手塚はベッドの中では、ものすごく色っぽいよ」なんてね。
勿体無いから誰にも教えてやらない。
手塚本人にも教えない。
言ったら、もうそんな顔を見せてくれなくなりそうだから。