
先生と二人切りで迎えた初めての朝。
ぽかぽかと暖かい、よく晴れた日曜日。
起きたばかりのこの人は、まだ完全には目が覚めてはいないようだ。
いかにも低血圧そうだとは思っていたけど、
その予想を裏切らずに、ぼんやりとした顔でソファに身体を沈めている。
昨夜のせいで、きっと疲れているだろうから好きなだけ寝かせておこうと
わざわざ気をきかせて、一人で先に起きたのに。
何を思ったか、重そうな足取りでリビングにやってきて
やっと、といった感じで
「おはよう」と言ったきり、崩れるようにソファに倒れこんだ。
「まだ寝ていても良かったのに」
俺が笑いながらそう言っても、反応は無い。
それでも俺が煎れたコーヒーを受け取り、それを何口が味わったら
多少はましになったようだ。
だけど、まだまだ目が覚めたとは言いがたい。
眼鏡はかけているけれど、視線はぼんやりとしたままで、どこを見ているかわからない。
髪もぐしゃぐしゃで、後頭部には寝癖がついている。
袖を通している俺のパジャマはろくにボタンも止まっていない。
そこから覗く鎖骨のあたりと、耳朶のすぐ下には俺のつけた赤い痕が残っていることにも
間違いなく気づいていない。
まったく、この人ときたら無防備すぎる。
あまり中味の減らないコーヒーカップを取り上げると、鈍い動きで俺を見上げた。
白い頬を掌で包みこみ唇を重ねて、細く空いた隙間から舌を差し込んだ。
「ん」
こもった声がしたけど、それは俺がすぐに飲み込む。
まさか、誰にキスされてるか今気づいたなんてことはないだろうなと、少しだけ不安になった。