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■INTERMISSION2 −戯れ2−

いつもより明るい夜の中で、手塚の顔は冷えているように見えた。
実際に触って確かめたい欲求はひとまず忘れることにする。
それよりも今は、これから手塚がしてくれることに興味がある。
だから自分からは指一本動かさず、手塚の好きに任せた。

手塚の両手が俺の頬を軽く包む。
澄み切った、色の薄い瞳がじっと俺を見据えている。
その中には情欲など少しも見つからない。
本気で手塚は俺をどうにかしたいと思ってるのだろうか。

手塚は軽く目を伏せるのと同時に薄い唇を重ねてきた。
唇は少し乾いていた。
だが、微かに開いた隙間から柔らかい舌が差し込まれ、あっという間に唇は湿っていく。
とろりと舌を絡ませながら、手塚の左手は俺の項から背中へと移動していく。
抱くのではなく、そっと表面だけを撫でるように。
手塚にそんな繊細な動きができるとは思ってもみなかった。

両腕を下げたまま、俺は次に何をしてくれるのかを待っていた。
出来る限り力を抜き、手塚の邪魔をしないようにする。
普段は好きにしている分、少しもどかしかったが、それを大きく上回る好奇心のせいで忘れてしまえた。

手塚は俺の真正面に膝で立ち、上半身を俺に預けるようにして唇を這わせた。
そして、ときどき啄ばむように軽く皮膚を吸い上げる。
「それ以上、強くしないでくれよ。跡が残る」
「自分は平気で付けるくせに」

これでも一応目立たないところに残しているつもりなのだが。
その言い訳は手塚には通用しなかったようで、肩口に軽く歯を立てられた。
ごく軽い痛みはむしろ快感に近い。
こんな状況ではなおさらで、噛まれた場所がじわりと疼いた。

あちこちにキスを受けながら軽く胸を押されたので、これは身体を倒せということだと判断した。
背中の後ろに枕があるので完全には横たわらない。
肘で体重を支え、片足を伸ばした。
この位置なら手塚の表情はよくわかるはずだ。

時折、手塚は俺の顔を上目遣いで見ていた。
挑発したいのか、反応を伺っているのか。
もしくはその両方だろう。
だから手塚はずっと俺の真正面にいるのだ。

手塚はちらりと赤い舌を覗かせて、俺の胸の突起を舐めた。
俺の肩がぴくりと反応したことに気づいたのか、手塚はその行為を続けた。
唇に含み舌を絡め、弱く歯を立てる。
それを繰り返されると、ぞくぞくとした快感が身体中に広がり始めた。

表情を巧く消し去った手塚は表面上は冷たく見えた。
だが、俺に与える刺激は常になく官能的で、触れる肌も徐々に熱くなっている。
言うまでもなく俺の肌もすでに温度は上昇しているはずだ。
隠すものは何も無いし、その必要も無いので俺の身体の変化に手塚はとっくに気づいているはずだ。

手塚はそこをわざと外して、遠いところを攻めるつもりらしい。
足の指を口に含まれたときはさすがに少し驚いた。
爪の生え際を軽く噛み、指の間に舌を這わせる。
刺激する場所は末端だが、感覚は身体の中心部に直結している。
自分でも苦笑が漏れてしまうほどあからさまに反応してしまった。

「何がおかしい?」
「正直すぎる自分が」
見上げる手塚と見下ろす俺の視線がぶつかる。
濡れた瞳と唇の色に血が沸きたった。
そろそろ来てくれてもいいだろうに。

そう思ったのが伝わったのか、手塚は上半身を乗り出して俺の足の間に顔を埋めた。
固くなったものをいきなり咥えられて、俺の身体は軽く硬直した。
だが、その後に続く生暖かく柔らかい感触に息を吐く。
意識して力を抜き、心地よさに身を任せると、手塚は更に大胆に刺激し始めた。


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なんちゅーところで「続く」なんだか!
続きは2,3日中には上がると思います。多分…←弱気